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2018.06/08(Fri)

想いを繋ぐ紅玉 第8章

静馬と共に怪我人の手当ての為に診療所へと戻った有匡がそこで見たものは、阿鼻叫喚の地獄絵図さながらの光景だった。
火事で焼け出された者の中には、全身が酷く焼け爛れた者や、既に息をしていない者が居た。

「有匡殿、遺体を運び出すのを手伝って頂けませぬか?」
「はい・・」

診療所の医師・瑞庵(ずいあん)と彼の弟子と共に、有匡は被災者達の遺体を美祢の遺体が安置されている奥の部屋へと運んだ。
遺体は時間の経過とともに増えてゆき、軽い火傷を負った怪我人達の手当てを有匡達が漸く終えた頃には、日が暮れ始めていた。

「瑞庵様、差し支えなければ、今回の火事について、詳しく教えて頂けないでしょうか?」
「火事の原因は、何者かによる付け火らしい。美祢様達はたまたま火事の現場である集会所で開かれた会合にご出席されており、そこで火事に巻き込まれてしまったようだ。」
「そうなのですか・・それよりも瑞庵様、わたしの母の事はご存知ですか?」
「其方の母上様の事なら存じ上げておる。スウリヤ様は、かつてこの診療所の手伝いをしていたことがあったからな。そういえば、いつも彼女は使用人や家族に行き先を告げずに何処かへ出掛けていたようだが・・その事について妙な噂があった。」
「妙な噂、ですか?」
「このような事を有匡殿にお伝えするのは大変心苦しい事なのですが、スウリヤ様が度々外出されていたのは男と密会していたからではないかという噂が昔、この近辺に広まりましてな・・スウリヤ様が失踪されたのは、噂が収まりつつあった頃でした。」

瑞庵から聞いた話に衝撃を受けつつも、有匡は母が失踪した原因は悪意ある噂の所為ではないとわかっていた。
母と懇意にしていた恵心尼の話から推理すると、自分の父親に殺されそうになった母は、夫と子の身の安全を案じ、自ら姿を消したのではないかと、有匡はそう思い始めていた。

「お帰りなさいませ、有匡様。旦那様がお部屋でお待ちになられております。」
「わかった、すぐに行こう。」
帰宅した有匡がすぐに有仁の部屋へと向かうと、中から父と誰かが口論している声が聞こえて来た。
「わたしは有匡を京へやるつもりはない。それだけは覚えておかれよ!」
「本日のところは、これで失礼いたします。」

有匡と入れ違いに、土御門家の使者らしき男が有仁の部屋から出て行った。

「父上、また土御門家の者がわたしに上洛せよとの催促をしていたのですか?」
「ああ。その上向こうは、お前に妻女を宛がうと言ってきたのだ。」

そう言って自分の方を向いた父の眉間には深い皺が寄っていた。

「向こうが何故わたしを上洛させようとしているのかがわかりません。とうに我が家と土御門家との縁が切れた筈だというのに・・」
「噂によると、向こうの家には三人の息子が居たが、揃いも揃って馬鹿ばかりだという。家名を笠に着て狼藉を働き、町民達の間では悪評が絶えないとな・・そんな馬鹿息子達の代わりにお前を後継者として差し出せと、暗に向こうは言って来ているのだろうよ。親族同士であったとしても、向こうの家の問題と我が家の問題とは別だ。向こうの家が滅びようが滅びまいがこちらには一切関係のない事だ。」
「その通りです、父上。そもそもあちらの家の当主が病で臥せっている事実が確かではないのですから、わたしが上洛する必要はないでしょう。」

数日後、再び土御門家の使者が有仁と有匡の前に現れた。

「先程京から文が届き、当主様が身罷られたとの事でございます。急ですが、有匡様に葬儀に参列してくださればと・・」
「当主様が身罷られたというのは、確かなのか?」
「はい。」

土御門家の当主が亡くなり、有匡は有仁の名代として当主の葬儀に参列する為、急遽上洛する事となった。
それは土御門家が彼らに仕組んだ巧妙な罠だという事に、この時まだ有仁と有匡は知る由もなかった。


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