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その花の名は。第5話

「火宵の月」オメガバースパラレルです。

詳しい設定についてはコチラのページをご覧ください。

苦手な方はご注意ください。

何でも許せる方のみ、追記ページをお開きになってください。
(全く、義父上にはいい加減にして貰いたいものだ。)

パーティー会場から出た有匡は、溜息を吐きながら人気のないバルコニーで冷たい風に当たっていた。
αとして生まれた彼の元には、山の様に名家出身のΩからの縁談が持ち込まれた。
土御門家は名門のαとして戦前からこの国に君臨してきた名家だった。
それ故、その血統を絶やさぬために唯一直系の血をひいている有匡の元へ縁談が殺到するのは当然の事なのだが、有匡はその縁談を全て断って来た。
それは、有匡の亡き父・有仁が相思相愛だった番の母親と家の者に引き離された後、そのショックで病死してしまったからだった。
αとΩは番となり、αの優秀な遺伝子を継ぐ子孫を産む―それが世の理であると、家の為であると、有匡は幼少の頃からそんな教えを学校から、社会から叩き込まれて育った。
しかし、有仁は番であった妻との契約を解消した後、後妻を迎えなかった。
“お父さん、どうして再婚しないの?”
ある日、有匡はいつものように病室の外から窓を眺めている父にそんな質問をぶつけてみた。
すると彼は寂しそうに笑いながら、こう答えた。

―何故だろうね、もう二度と会えないと想っている人が、わたしの事を待っていると想っているからかな・・

その時、まだ子供だった有匡は、父の言葉の意味がわからなかったが、大人になった今となってはわかる。
父は、番だった母の事を待っていたのだ。
亡くなるその日まで、ずっと。
その事を知った時、有匡は家の為だけに利害が一致する名家のΩと番うことを一切拒否した。

(わたしは誰とも番わない・・決して父のようにはならない。)

そう自分に誓いを立てながら、有匡は高校教師として普通の生活を送っていた。
しかし、αである自分を周囲は放っておくはずがなかった。
翌朝、パーティーでの事で早速有匡は義父から小言を食らった。
「有匡、結婚はまだ考えていないのか?お前もそろそろいい年だ。身を固めておいた方が・・」
「お言葉ですが義父上、わたしは一生誰とも番いません。貴方はどうやら、わたしの父にした事をもう忘れてしまったようですね?」
「あ、あれは仕方がなかったのだ!ああしなければ、お前の父親はあのΩに滅ぼされるところだったのだぞ!」
自分に都合のいい言い訳ばかりを並べ立てる義父の姿に、有匡は嫌悪を感じた。
「わたしを、父の二の舞にさせるおつもりですか?」
「有匡・・」
「この際だからはっきりと言っておきます。わたしは家の為の道具ではありません。」
有匡はそう言って椅子から乱暴に立ち上がると、そのままダイニングルームから出て行った。
「まったく、有匡には困ったものだ・・」
「旦那様、そんなに気を落とさずに・・」
そう言って義父を慰めたのは、彼の愛人であるΩだ。
彼女は義父にしなだれかかると、嫣然とした笑みを口元に浮かべた。
「そういえば、有匡様が働いておられる高校では、Ωの特殊学級があると聞きましたわ。その特殊学級の生徒達の中から、有匡様の番を選べば宜しいのではなくて?」
「名案だな。そうしないと、いつまで経ってもあいつは独身のままだろう。」
義父はそう言った後、美味そうにワインを飲んだ。
有匡が高校に出勤すると、校長が彼を校長室に呼んだ。
「校長先生、わたしにお話とは何でしょうか?」
「・・実は、こんな物が先程保護者の皆さんから渡されてね。うちの高校に在籍しているΩの生徒を、専門機関へと隔離して欲しいという嘆願の署名だ。」
「何故、そのような事を?バース性の差別は法律で禁じられている筈・・」
「ああ、表面上ではな。だが、人種差別や性差別が未だ根絶できないのと同じく、バース性への差別は、わたし達の生活に深い根を下ろしている。」

校長がそう言って溜息を吐いた時、廊下が急に騒がしくなった。


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